生きる
皆さんからご投稿いただいた、
身近にある「おみごと!」を感じられるストーリーを紹介します。
つらつらとこの一生を振り返れば、分厚く本のページをパラパラとめくるがごとくあふれ出てくる。この八十五年は長くもあり、短かった。五人いた兄弟姉妹は、五十代、六十代、七十代の若さで逝ってしまい、真ん中だった私だけ一人生き残っている。よくぞ今までの時を乗り越えて頑張って生き抜いてきたなあと自分をほめてやりたい。
やってみたいと思った仕事は努力して、色々なことを皆やりとげた。病を患うこともなく健康でいられたのは、生んでくれた親にただ感謝あるのみ。あの世でもう百二十歳にもなっているであろうか。懐かしい顔が浮かぶ。
そして今、私は施設に来る利用者さんと音楽を通して遊んでもらっている。楽器を担当し、楽しい明るい曲、思い出深いわらべ歌、なつメロ歌謡曲など、選曲しピアノ伴奏をしながらみんなと合唱している。
心に水を与え、乾かぬよう枯れぬよう生きていたいから。
まだそんなことを考えている老女である。
(三重県・ピーチクパー子85歳)